凛冽の宙 - 幸田真音
今回の幸田真音の小説「凛冽の宙」はちょっと物足りなさがありました。今までに「代行返上」「日銀券」と読んできたのですが、それらと比べるとストーリー全体の構成力が弱く稚拙な感じを受けました。自分が言える立場ではないですが。。。(笑)
ストーリーは外資系証券会社社長の坂木と投資顧問会社社長の古樫の二人を軸に、不良債権処理に喘ぐ日本を舞台として展開されます。
坂木はパウエル・アジア証券会社の外資系社長。緻密に忍耐強く仕事に向き合い、ひとつずつこなしていく。また古樫は人々を魅了するカリスマ性を備え、「兜町の風雲児」と呼ばれる人物である。このように、坂木と古樫は相反する価値観を持ちながらも運命のように幾度となく重なりあっていきます。
「不良債権」という全貌がつかみきれない要素にスポットを当て、バブル経済が破綻したあと、不良債権がどのように隠蔽され、そしてその弊害がどのように経済全体、ひいては国民の税金までをも蝕んできたかを、証券会社や投資顧問会社の内幕を通して描いています。
外資系証券会社と投資ファンドの金儲けの手口、不良債権の飛ばしの手口は、そういう風に頭を使うか!?と手法の良し悪しは別としてひとつの方法として参考になると思います。
ラストに坂木と古樫、坂木とアランの最後の戦いが描かれていなかったのがストーリー=小説としての物足りなさを出しているのかなと思います。
意図的にかもしれませんが。。。
事実を知り、証拠も手に入れた坂木がどう誇り高く、自分の存在の証を示すか。読者の想像力に任せたというところなんでしょうか。
本書のタイトルとなっている「凛冽」とは寒気の厳しいさま、とても寒いこと。
その当時の日本の状態を表現したということなんでしょうか~。
商品の詳細
文庫: 517ページ
出版社: 講談社 (2007/1/12)
ISBN-10: 4062756129
ISBN-13: 978-4062756129
発売日: 2007/1/12
商品の寸法: 14.8x10.6x2.4cm
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